2015年10月29日

下書き小説152

「山には昔から化け物が住んでいて、毎年麓まで降りて来ては生け贄を捧げるようにと要求していた」
「それで村の人達は困っていたんですね」
「昔話によくあるやつだね」
岡田は相槌を打ち、あずさも口を挟む。
「そうだね、よくある話だ。そしてよくある通り、若い娘をやむを得ず差し出していた。そうでなければ奴らは村で暴れ回ったり、畑をめちゃくちゃにしたりする」
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2015年10月22日

下書き小説151

「どうして」
杉浦の問いに「うーん」と首を捻る。
「それはこれから説明するけど、避難してもらったんだ。僕たちだけ残ることにして、やむを得ず出て行ってもらった」
「ずっと住んで来た土地を離れるのは辛いでしょうね」
岡田がテーブルに声をぶつけるように呟いた。
「そうだね」
尾形の相槌にも哀愁が僅かに滲んでいた。
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2015年10月16日

下書き小説150

昔は人も住んでいたし、村も隔絶されることなく存在していたという。
「でも今はこの家の人間しか住んでいない」
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2015年10月05日

下書き小説149

三人ともそれぞれにショックを受けていた。衝撃のあまり声も出ず、視線を泳がせて頭の中を整理しようと必死だった。やがてゴクリと唾を飲み込んで杉浦が尋ねる。
「それってもしかして、俺たちはここに来たことがあるってことですか?」
首肯する尾形に三人はじっと疑いの視線を向けた。
「見憶えもないところなのに?」
「私なんて遠くに住んでたけど?」
「一体どうやってここに?」
一転口々に質問を繰り出す三人に尾形は苦笑して両手を挙げ、制止とも降参とも取れるようなポーズをとった。
「まずはこの古蔵のことを話そう。古蔵というのはこの山一帯の地名だ。さっきも言った通り、普段は結界によって世間とは隔絶されている」
posted by 吉椿 at 18:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 下書き小説 | 更新情報をチェックする

2015年10月02日

下書き小説148

「この辺りでも、と君は言いかけたね」
尾形が会話に割り込み、杉浦の発言を持ち出した。
「あ、はい」
「もちろんこの辺りでも流行った。というよりここでしか流行らなかった」
「え?」
言葉の意図を計りかねて困惑している三人に対し、尾形の言葉は淡々としていた。
「そもそも流行りなんてなかったんだ。映画でもテレビでもない。現実の話だ」
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